夏だ、鴨川へ行こう! 京都の夏の風物詩・鴨川納涼床を120%楽しむコツ教えます
2020/08/15
夏だ、鴨川へ行こう! 京都の夏の風物詩・鴨川納涼床を120%楽しむコツ教えます
毎年5月から9月、二条通~五条通にかけての鴨川西岸には、納涼床が登場します。
夏の京都には欠かせない風物詩でもあり、河川敷に等間隔で並ぶカップルたちの姿や、水面に映る空の色の移ろいを眺めつつ、川床で味わう食事は格別です。
今回は、暑い京都の夏ならではの風情ある食事の楽しみ方「鴨川納涼床」デビューをお考えの方に、鴨川納涼床を120%楽しむコツをお教えします!
豊臣秀吉の時代から続く、鴨川納涼床の歴史
鴨川納涼床の歴史は古く、桃山時代から既に始まっていたと伝わっています。豊臣秀吉によって、三条橋、五条橋の架け替えが行われたのを機に、鴨川の河原では興行や物販で賑わうようになります。
やがて富裕な商人は見物席を設け、茶店が登場するなどし、これが現在の納涼床の原形となったそうです。
江戸時代に入り、石垣や堤防の整備が行われ、付近には花街が形成され、鴨川の河原は一大歓楽街として大いに賑わいを見せるようになりました。江戸時代中期には、なんと約400軒もの茶屋が立ち並び、床机の数や置き方を定めるなどの組織化も進んでいたようです。
「夏」の風物詩となったのは、明治時代!
明治時代になり、川床の実施期間は7月・8月の2ヶ月間で定着します。
その後、第2次世界大戦下の昭和17年(1942年)には納涼床が禁止され、昭和26年(1951年)に数店舗で復活するまでの8年間、京都のまちから納涼床は姿を消していました…。
しかし昭和30年頃になると、40~50軒の店舗が納涼床の設置をするようになり、徐々に賑わいを取り戻していきます。現在では、納涼床を実施する店舗が、約100軒を数えるまでになりました。
桃山時代から、たくさんの人が楽しんできた納涼床。時を超えて、同じ場所に歴史上の偉人が座っていたかも…なんて想像するのも、京都旅の醍醐味ですね!
どこに行ってみる!? 鴨川納涼床 4つのエリア
南北に長く連なる鴨川納涼床は、4つのエリアに分かれています。それぞれのエリアについてご紹介していきますね。
■上木屋町エリア
木屋町二条南~三条大橋北側までが、上木屋町エリアです。上木屋町エリアで特に有名なのが、大正初期に創業の「新三浦」。女優の森光子さんの生家として、ご存じの方も多いのではないでしょうか。現在は、水炊きの名店として知られています。
■先斗町エリア
三条大橋南側~四条大橋北側までが、先斗町エリアです。鴨川納涼床4つのエリアの中で最も店舗数が多く、バラエティーに富んだ40店舗が軒を連ねています。
■西石垣エリア
四条大橋南側~団栗橋(どんぐりばし)北側までが、西石垣エリアです。鴨川納涼床4つのエリアの中では最も店舗数が少ないですが、いずれも個性豊かな10店舗が立ち並びます。
■下木屋町エリア
団栗橋南側~松原橋までが、下木屋町エリアです。このエリアで圧倒的な知名度を誇るのが、老舗の水炊き店「鳥彌三(とりやさ)」。あの坂本龍馬も愛したという名店で、登録有形文化財に指定された建物が歴史を感じさせます。
浴衣を楽しむ機会
とにかく暑い夏の京都。
自分自身も、街の雰囲気も涼しく感じさせるのが「浴衣」です。最近では浴衣姿の男性も多く目にするようになりました。納涼床に行くときは、浴衣を着てみてはどうでしょうか。
浴衣をレンタルできるお店もたくさんありますが、一棟貸の宿にお泊りなら、持参いただいてもいいですね。ゆったりしたスペースで着付けもできますし、せっかくの町家スタイルの宿ですから、納涼床に行く時間だけではなく、その1日を浴衣で過ごしてみる…という旅はいかがでしょう。
和食だけではない、納涼床で味わえる料理
何を着て行くにしても、気になるのは「どんなお料理が楽しめるか」です。
鴨川納涼床といえば、高級料亭や割烹といった敷居の高いイメージを持たれがちです。メニューも日本の伝統的な会席料理などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、実際には本格的な和食はもちろん、フレンチ、イタリアン、中華、タイ料理などバラエティー豊かなお店がたくさん!
肩肘張らずに楽しめるカジュアルなレストランや居酒屋などは、気軽にリーズナブルに利用できますよ。
ドリンクだけの利用もOKなお店も
鴨川納涼床では、予約をしてランチやディナーをゆったりと楽しむのが一般的ですが、実はドリンクだけでの利用ができるお店もあるんです。
例えば、先斗町エリアにある大人の雰囲気たっぷりのバー「ATLANTIS(アトランティス)」や、西石垣エリアにあるレンガ造りの建物が印象的なバー「SENT JAMES CLUB (セント ジェームス クラブ)本店」など、夕食を終えた後にカクテルを楽しむ“2軒目のお店”としての使い方も可能です。
また、上木屋町エリアにある「スターバックスコーヒー 京都三条大橋店」では、床料はかからず、通常のメニュー料金のみで床席の利用OK。毎年行列ができるほどの大人気です。今年は新型コロナウイルス感染症防止対策のため、川床席は実施されないとのことで残念ですが、来年以降のためにぜひチェックしておきたいですね。
鴨川納涼床 アクセス
鴨川納涼床
京都市中京区・下京区 鴨川右岸(西側)一帯 ※利用店舗によります
●地下鉄東西線「京都市役所前」・「三条京阪」
●市バス「京都市役所前」・「四条河原町」・「河原町五条」
●京阪電車「三条」・「祇園四条」・「清水五条」
●阪急電車「京都河原町」
詳しくはこちらをご覧ください ▶▶▶ https://www.kyoto-yuka.com/
密を避けて、素敵な体験を
鴨川納涼床は、むし暑い京都の夏に少しでも涼を感じるために、先人たちが知恵を絞り工夫を凝らして生み出した文化です。
現代風にいえば、趣のある和風ビアガーデンといったところでしょうか。
今年の夏は、密を避ける意味でも、開放的な空間で楽しめる鴨川納涼床に熱い視線が注がれています。京都の夏旅の思い出に、一棟貸の宿に泊まって、ゆっくりと鴨川納涼床を訪れてみませんか?